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上田誠ダンスコメディ日記 PROGRAM01 ダンス、なんや? 上田誠「ダンスコメディ・呼び出さないで!アフタースクール」 >> PROGRAM >> TOPPAGE

ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」の演出は京都を拠点に全国的に活動を展開している劇団、ヨーロッパ企画主宰の上田誠さんです。 出演は5人のダンサーと、2人の役者の計7人。
どんな作品になるのか?出演者はどんな人?
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※以下ピックアップ記事の写真についてヨーロッパ企画blog掲載分とは異なる写真もあります。

※ヨーロッパ企画の上田さんから出演者へのインタビューはこちら
上田誠(ヨーロッパ企画)  うえだまこと

1979年京都生まれ。作家・演出家・構成作家。ヨーロッパ企画の代表であり、全公演の脚本・演出を担当している。2010年、構成と脚本で参加した『四畳半神話大系』が第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞受賞。2014年、第32回京都府文化賞奨励賞を受賞。
http://www.europe-kikaku.com/

4月7日
「Dance Fanfare Kyoto」のことも考えはじめた。今現在すこしだけ発表になってますが、ダンスファンファーレというダンスのイベントというかフェスが京都の立誠小学校でありまして、そこで演目を作るんです。ダンスに関しては門外漢だけど、それでいうとバーチャだってそうだし迷路だってゲートだってそうなので、やることは別にいつもと変わらないさ、と自分を諌めている。とはいえダンスはそれにしても未踏だぞ、ということも分かってはいる。ゲーセンコメディの次はダンスコメディです。
4月11日
合間に、ダンスファンファーレの演目のタイトルをずっと考えてました。立誠小学校でやるので学校ものがいいと思っている。「上履きトウシューズ」というのにしようかと思ったけどボツにしました。さすがに迂闊かもと思って。正式なやつはまたオフィシャルで発表されてからお知らせしますね。
4月14日
浅草へ。「Dance Fanfare Kyoto」で僕がやる演目に出ていただく、ダンサーの岩間華奈子さんにお会いするべく。今回出てもらうダンサーの方々は、ウミ下着の中西ちさとさん以外は、初対面でしかも僕は映像でしかダンスを見ていない、というはじめまして加減なんですけど、それでも中西さんやきたまりさんに推薦してもらったり、資料を見たりして、自分なりに「この人は!」と思った方にお願いしています。そういうご紹介とご縁と直感が混ざり合ったようなオファーなんです。そして、プロデュース公演のときとかにいつもやっているように、初めましての方とはひとまずご挨拶してお話をしてみよう、という。

正直、ダンサーさんと会うだけで緊張してしまっているけど、お会いすると当たり前なんですけど同じ人間で舞台人なので、共通項や「そうそう!」と思うことも多く、そしてやっぱり知らない世界なので「へえー」と思うようなことも多くって、いろいろ劇作に向けての材料とか刺激をもらいました。なにせ自分が踊らない人間なので、踊ることについての理解が乏しく、まずはその辺の話をそれぞれのダンサーさんに臆面なく聞いてみようと思っています。そしてそれをコメディに組み込んでいくつもり。まだ全然インタビューしたりないけど、とりあえず岩間さんがそういう身もフタもない質問に、親切に答えてくれる人でよかった。
4月20日
発表になりましたが、ダンスファンファーレでやる演目は、ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」というものです。こちらですね。ヨーロッパ企画からは土佐さん、そしてロブカールトンから村角ダイチくんに出てもらいます。あとの5人は女性ダンサーで、中西ちさとさん、岩間華奈子さん、藤原美加さん、松本芽紅見さん、山口惠子さんという、それぞれ出自も経歴もばらばらの方々。という7人で、放課後の学校を舞台にした学園コメディをします。場所も立誠小学校の講堂というぐっとくるシチュエーションですので、そのまま生かせればと。チケット発売しております、わずか3ステですのでこれはぜひお見逃しなく。

という演目の準備のため、ダンサーの方々にお一人ずつお会いしている、というのは前にもこの日記で書きましたが、この日は藤原さんとそして松本さんと会いました。コンテンポラリーダンスのことをコンテという、というのを初めて知った。コンテと言っていこうと思います。藤原さんはものすごくおいしそうにご飯をたべる人だった。なにか注文が届くたびに「美味しそうですねええ!」と喜色満面で言うのだった。これは素敵だ。そして松本さんはキャリアも活動ぶりもすごくて、まだ喫茶店で話しただけなのに踊ってるみたいだった。作品をどうやって構想されてるのか、みたいな根本的なこともいろいろ聞けました。これはやっぱりだいぶん未踏の海域に漕ぎ出そうとしていますぞ、とドキドキしている。順調丸の点検を十全にしないとなあ。

そして「ランナー企画(仮)」のプロット締切も近づいていて、それを練ったりもした。ダンスファンファーレとはまるで毛色も違う企画だけど、やっぱり並行してやっていると影響ってありまして、ダンスから刺激を受けつつプロットを考えました。ラストシーンはみんなで踊ることにしようかな、とか安易に考えてしまったりもした。
4月21日
ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」のダンサーさんの一人、山口惠子さんにお会いした。ダンサーと役者と作・演出家、の間ぐらいの領域にいるような方で、大阪出身でありつつロンドンに留学されたあと京都を拠点にしていて東京でも活動している、という地理的にもいろんな境界をまたいでいる方だった。

話は飛びますが、関西弁のことが最近すごく気になっている。僕はバイリンガルどころか海外も知らないんですけど、でも関西弁と関東弁を行ったり来たりしている気はしていて、コメディを作るときは関東弁で考えている風を装いつつ、ここぞというときは関西弁の頭で考えている、ように思う。だけど関西弁だと掘り進めないこともあって、そこはやっぱり関東弁というか標準語っぽい言葉で考えることで突破できたりも。この今の日記も、関西弁だとこういうちょっと気取ったことは書きにくいでしょうしね。標準語と関西弁と東京弁の違い、とかはまだ分からないんですけど。

なんかそんなようなことが、実はダンスでもあるんじゃないか、という気がしている。ダンサーの皆さんにお会いして、「なにで踊ってるんですか」ということを聞いてみたら、みなさんそれぞれ違いはありつつも、「言葉」で踊っている部分が少なからずある、ということが分かったから。もっと音楽で踊ってますとかビートで踊ってますとか、快感原則で踊ってますとか、そういうことが大きいのかなと思っていたけど、かなり言葉やコンセプトを手掛かりにして踊ってもいるんだな、ということを知った。まあそりゃそうか。コンテンポラリーだからなのか、他のダンスもそうなのかは分からないけど。なにしろ僕が踊らないので、てんでダンサーさんの気持ちがわからないんです。

ともあれ関西の方がけっこう多いので、関西弁の思考や言葉でダンスを作る、というのはポイントかもしれない。山口さんも大阪弁がキュートな方でした。写真はアイデアメモ。ダンスコメディっぽいでしょう。ドラゴンは多分出ません。
4月24日
夜は、中西ちさとさんとお会いして、ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」の打ち合わせというか進捗報告。中西さんには演出助手として手伝ってもらっていて、ダンスに関することはもう頼ってしまおうと目論んでいる。そして話していて、なるほど自分はダンスのここには興味があるけどここはまるで分らないんだ、ということがだんだん明晰になってきた。そして中西さんから聞いた手塚治さんの話があまりに面白くて、中西さんにはもうそういう役をやってもらうしかない、と心で思いながらの打ち合わせだった。ダンスコメディも糸口がちょっとずつ見えてきた気がしている。
5月1日
暖かくなって日も長くなってきましたね。油断はまだできませんけどね。けどもうさすがに寒くはならないんですかね。上田です、5月のお知らせです。

■29~31日 Dance Fanfare Kyoto ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」(京都)
僕・上田誠が作・演出をさせてもらう舞台です。ダンスファンファーレというのは文字通りダンスのフェスティバルでして、元・立誠小学校で3年にわたって開催されていて今年が3年目なんですが、縁あってお呼ばれしまして、せっかくなのでダンスコメディというものを作ってみよう、と思い立ちました。土佐さんと、THE ROB CARLTONの村角ダイチくんと、そして5人の女性ダンサーさんで学園もののコメディをやります。そして踊ります。ダンスコメディですからね。ウミ下着の中西ちさとさんに演出助手をお願いして、ダンスのイロハを学んでいる日々です。3日間で3ステあります、講堂でやりますので雰囲気も抜群のはずです。ぜひとも。
5月1日
喫茶店で「呼び出さないで!アフタースクール」と「ランナー企画(仮)」をやってました。
5月2日
この日は下北沢でもうずっと書きもの。「呼び出さないで!アフタースクール」と「ランナー企画(仮)」と「インテリワード~」という三つ首の竜と戦ってました。そしてそれらを考えているうちにポッと新作本公演の考えがまとまらないかなあと期待してもいる。結局、本格的に書きに入るときはどれか1つしかできないんだけど、こうやってまだざっくり考えている段階では、いくつか並行して考えるほうが、かえってそれぞれの企画でやるべきことが見えてきたりするもので。と思っていたけどこの日は別にそうはならなかった。本を山のように買いました。
5月4日
朝、京都に戻って少し寝て、「インテリワード~」8~10話の残りを仕上げました。そして本屋さんや銭湯や、いろいろウロウロしながら、この日は「呼び出さないで!アフタースクール」のことをずっと考えてました。

「呼び出さないで~」は、立誠小学校の講堂で上演予定なんだけど、煮詰まったので雰囲気を味わうために立誠小学校へ行ってみたら、イベントで盛り上がっていて、講堂にも入れる感じだったので、なにか催しをやってるのかなと思って覗いてみたら、中で50人くらいがダンスしていてびびった。ダンスだ!と思ってすぐに扉を閉めた。ダンスのことを考えすぎて見た幻か、それとも1ヶ月後の未来視かな、と思ったけど、ダンスのワークショップをやってたみたい。ダンスに怖気づいている。このとき見た光景に負けない迫力のダンスコメディを作らないと! 写真はちょっと前に見かけた、さすがにこの言いぐさは変でしょう、と思った小便器のメッセージ。
5月5日
夜、他のもやらなきゃと思って「ランナー企画(仮)」に取りかかってみたら、すこし進展があった。さらに「呼び出さないで!アフタースクール」のほうにも。毎日ちょっとずつだなあ、ほんとうに。
5月6日
「呼び出さないで!アフタースクール」のことを考えて、あとは仮眠をとってから、終電近くで東京へ。「インテリワード~」のバー部分の撮影が、また深夜からあるんです。
5月8日
ダンスファンファーレのダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」の稽古初日が迫っていてじりじりとしている。
5月9日
写真はなんとなく立ち寄ってみた立誠小学校。ダンスファンファーレにむけて力をもらおうと思って。この日も講堂ではダンスのワークショップをやってました。
5月10日
夕方、中西ちさとさんにお会いして、ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」の稽古初日について相談に乗ってもらった。そして立誠小学校に下見にいき、ストーリーの相談もいろいろしました。それにしても中西さんに演出助手を引き受けてもらえて本当によかった、と稽古もまだはじまってないのに思っている。同じ演出家さんでかつ守備範囲がちがうので、ダンスへの水先案内をしてもらっている感じです。コメディに軸足を置きながら、せっかくなのでなるべくダンスのことを知りたいし、そしてそれをまたコメディのところに引き戻すように作りたい。ダンスの話は聞けども尽きず、あとはもう稽古場に入ってからだな、と無理やり肚をくくった。
5月11日
ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」の稽古初日。今までになく未知数な、緊張の仕方も分からないような稽古初日で、それにはダンサーさんと初めてやる、ということもあるし、そもそも土佐さん以外にメンバーがいない、という稽古場も僕にとっては珍しく、そしてこの日は土佐さんがいない、という。内弁慶なんですよね。そして裏返すと、むしろ出演者さんのほうが僕に対して未知数だよな、と思い直し、とりあえずこの日は僕が今までやってきた作り方を体験してもらって、その中で関係性もほぐれてきたらなおよし、ぐらいに目標をもって、稽古場へ。

まずは最初の「えいや!」が大事だと思って、エチュードをやってみたら、なにをひとりで緊張してたんだと思うほど面白くって、そこからは、用意してきたメニューをやりつつも、勢いに乗って、作品の核心に迫るエチュードみたいなこともやってみました。なるほどこれがダンスコメディか、という場面が早くもできました、ウソみたいですけど本当ですよ。

そして、ああやっぱり普通にコメディを作る感じでよかったんだ、役者とかダンサーとかって意識してた自分が馬鹿らしいなあ、などと思いつつ、せっかくなので、中西ちさとさんと松本芽紅見さんにダンスの作り方も見せてもらったら、のけぞった。一気にそこはダンサーさんの空間になって、さっきまでエチュードしてた感じとはまるで違う人たちがいるみたいに見えるのだった。かつて同志社小劇場に入ったときに、発声練習とか稽古を見て大変なカルチャーショックを受けたんですが、それぐらいの体験でした。外国に来たみたいな感じ。そのあと松本さんが丁寧に解きほどくみたいにして進めてくださったおかげで、ひとまず心は落ち着いたけど、でもやっぱりコメディとダンスって近いようで遠いぜ、って思った初日の稽古でした。この遠さ、知ってる人が知らない顔になる感じは大事にしたいと思ってます。そういうコメディです。

なにせ刺激的で、3~4時間くらいで終わるかもな、って思ってたのが、それどころじゃなく8時間やっていた。終わったあとも興奮冷めやらず、ダイチくんと飲みながら作戦を練りました。ダイチ君も音楽面で大活躍してくれそうです。予断は許しませんがお楽しみに。
ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」
演出 上田誠(ヨーロッパ企画)
演出助手・出演 中西ちさと(ウミ下着)
出演 岩間華奈子、土佐和成(ヨーロッパ企画)、藤原美加
松本芽紅見、村角ダイチ(THE ROB CARLTON)、山口惠子
日程 5月29日(金)19:30、30日(土)19:30、31日(日)17:00
場所 1階 講堂 google map
料金 2,200円(当日券 +300円)
上演時間 50分~60分
予約
REPORT&TEXT